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日本電波工業 技術コラム 水晶振動子の選び方:周波数・負荷容量・周波数許容偏差など選定ポイントを解説

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日本電波工業は、水晶振動子を選定する際に重要となるポイントを解説しています。水晶振動子は、発振回路に安定した基準周波数を供給する部品で、用途に応じた適切な選定が必要です。選定時には、必要な「周波数」や「負荷容量」を確認するほか、実際の発振周波数と規格値との差を示す「周波数許容偏差」などを考慮します。また、使用温度範囲や周波数温度特性、サイズ、実装方法なども重要です。日本電波工業は、これらの条件を総合的に検討し、機器の要求仕様に適した水晶振動子を選ぶことを推奨しています。(ミタチ産業要約)


2026.09.17

水晶振動子の選び方:周波数・負荷容量・周波数許容偏差など選定ポイントを解説

イントロダクション

水晶振動子には、周波数やサイズだけでなく、負荷容量、周波数許容偏差、 周波数温度特性、等価直列抵抗など、さまざまな仕様があります。

そのため、「周波数が同じなら、どの水晶振動子を選んでもよいのか?」、 「データシートのどの項目を確認すればよいのか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

水晶振動子は発振回路と組み合わせて使用する受動部品です。 そのため、安定した発振を実現するためには、必要な周波数だけでなく、 使用するICや発振回路、使用環境などに適した製品を選ぶことが重要です。

本記事では、水晶振動子を選ぶ際に確認したい代表的なポイントをわかりやすく解説します。


水晶振動子を選ぶときに確認したいポイント

水晶振動子を選定する際は、主に次のような仕様を確認します。

水晶振動子を選定する際の主な確認ポイント
水晶振動子を選ぶときの主なチェックポイント

選定項目 主なチェックポイント
① 公称周波数 必要な周波数に対応しているか
② 負荷容量(CL) 使用する発振回路・ICの条件と合っているか
③ 周波数許容偏差 必要な周波数精度を満たしているか
④ 動作温度範囲・周波数温度特性 何℃から何℃までの環境で使用するのか。
また、その温度範囲の中で周波数がどのくらい変化するのか
⑤ 等価直列抵抗(ESR) 発振回路で安定した発振ができる条件を満たせるか
⑥ サイズ・実装条件 基板スペースや実装方法が適しているか


これらの条件を総合的に確認し、用途や発振回路に適した水晶振動子を選定することが重要です。 それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。



1. 必要な「公称周波数」を確認する

水晶振動子を選定するとき、最初に確認するのが「公称周波数」です。

公称周波数とは、水晶振動子の周波数の公称値です。

電子機器では、ICや通信システムなどを正しいタイミングで動作させるために、 用途に応じた基準周波数が必要になります。

例えば、使用するICのデータシートなどで必要な周波数が指定されている場合は、 その条件に対応した水晶振動子を選びます。

ただし、「必要な周波数と水晶振動子の公称周波数が同じだから使える」とは限りません。

実際の発振周波数は、水晶振動子だけではなく、組み合わせる発振回路の条件によっても変化します。 そのため、周波数だけで判断せず、次に説明する「負荷容量」などの条件もあわせて確認することが重要です。


2. 発振回路に合わせて「負荷容量(CL)」を確認する

水晶振動子を選定するうえで重要な仕様の一つが、 「負荷容量(CL:Load Capacitance)」です。

負荷容量とは、水晶振動子を発振回路で使用する条件として設定される容量です。

水晶振動子の発振回路で得られる発振周波数は負荷容量の影響を受けるため、 発振回路の条件に合った負荷容量の製品を選ぶ必要があります。

一般的な発振回路では、水晶振動子とともに、周波数を調整するためのコンデンサを接続することがあります。 ただし、負荷容量はこの外付けコンデンサの容量だけで決まるものではありません。 基板配線などによる浮遊容量や、使用するICの内部容量なども影響します。

そのため、水晶振動子を選ぶ際は、使用するICのデータシートや回路構成を確認し、 発振回路に適した負荷容量の製品を選定することが重要です。


3. 必要な精度に合わせて「周波数許容偏差」を確認する

次に確認したいのが「周波数許容偏差」です。

周波数許容偏差とは、水晶振動子の実際の周波数が、 公称周波数からどの程度ずれることが許容されているかを示す値です。 一般的に「ppm(parts per million)」という単位で表され、 1ppmは100万分の1を意味します。

例えば、公称周波数20MHz、周波数許容偏差±20ppmの水晶振動子の場合、 周波数の許容範囲は、20MHz × 20ppm = 400Hzとなるため、 19.9996MHz~20.0004MHzとなります。

必要とされる周波数精度は、使用する電子機器や通信規格などによって異なります。

そのため、水晶振動子を選ぶ際は、システム側で許容される周波数のずれを確認し、 それを満たす周波数許容偏差の製品を選定します。


4. 使用環境に合わせて「周波数温度特性」と「動作温度範囲」を確認する

水晶振動子の周波数は、周囲の温度によってわずかに変化します。 この温度変化に対する周波数の変化を示したものが「周波数温度特性」です。 一方、「動作温度範囲」とは、水晶振動子が規定された特性を満たして動作できる温度の範囲です。

例えば、自動車や宇宙機器といった厳しい温度環境にさらされる機器と、 PCや家庭用ルーターなどの屋内で使用される機器では、 求められる温度条件が異なります。

そのため、水晶振動子を選定する際は、 使用環境に適した動作温度範囲であることを確認したうえで、 その温度範囲における周波数の変化が要求精度を満たしているか、 周波数温度特性を確認することが重要です。


5. 安定して発振させるために「等価直列抵抗(ESR)」を確認する

水晶振動子を安定して発振させるために確認したい項目の一つが、 「等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)」です。

ESRは、水晶振動子が振動するときの振動のしにくさを電気的な抵抗値として表したものです。

ESRが大きいほど、水晶振動子を振動させるために、 発振回路側により大きな発振能力が必要になります。

そのため、水晶振動子を選ぶ際は、ESRの値だけを見るのではなく、 組み合わせる発振回路で安定して発振できるかを確認することが重要です。

製品のサイズや周波数などによってESRは異なるため、 製品仕様を確認するとともに、 実際に使用する発振回路との組み合わせを確認して選定します。


6. 「サイズ・実装条件」を確認する

電子機器の小型化に伴い、水晶振動子にも小型化が求められています。

水晶振動子にはさまざまな外形サイズがあり、 基板上の実装スペースに合わせて選択する必要があります。

ただし、単純に「小さい製品を選べばよい」というわけではありません。

同じ周波数でも、製品サイズによって電気的特性が異なる場合があります。

そのため、次のような条件を総合的に確認して選定することが重要です。

  • 基板上の実装スペース
  • 必要な周波数
  • 電気的特性
  • 使用温度環境
  • 発振回路とのマッチング

また、実装時のはんだ付け条件などについても、 製品ごとの推奨条件を確認してください。

実装条件を確認する


7. 水晶振動子を選定した後は「発振回路」を確認する

ここまで紹介した仕様をもとに水晶振動子の候補を選定した後は、 実際に使用する発振回路についても確認することが重要です。

水晶振動子は、単体で発振する部品ではなく、 ICなどで構成された発振回路と組み合わせて使用します。 そのため、水晶振動子の仕様だけでなく、 使用するICや回路条件なども含めて検討する必要があります。

水晶振動子の選定における発振回路の確認イメージ


発振回路を検討する

発振回路を設計する際は、 水晶振動子の周波数や負荷容量、ESRなどの仕様に適した回路構成を検討します。

NDKでは、水晶振動子を使用する際に推奨している発振回路例を公開しています。 周波数帯や発振モードなどに応じた回路例を掲載していますので、 発振回路を検討する際にご参照ください。

リファレンスデザインを見る


実際の発振回路とのマッチングを確認する

リファレンスデザインは発振回路を検討する際の参考になりますが、 実際の製品では、使用するICや回路定数、基板上の部品配置などによって 発振特性が変化する場合があります。

そのため、最終的には実際に使用する回路で、 水晶振動子とのマッチングを確認することが重要です。

NDKでは、お客様の回路と水晶振動子の組み合わせを確認・評価する 「回路検討サービス」を提供しています。

発振回路とのマッチングや水晶振動子の選定でお困りの場合は、 回路検討サービスをご活用ください。

回路検討サービスを見る


使用するICから水晶振動子を確認する

使用するICが決まっている場合は、 ICと水晶振動子の組み合わせについて確認することも重要です。

NDKでは、ICメーカーやIC型番などから対応する水晶振動子を確認できる「ICマッチング情報」を公開しています。

使用するICに適した水晶振動子を検討する際にご活用ください。

ICマッチング情報を見る


8. 水晶振動子を選ぶときのチェックポイント

最後に、水晶振動子を選定するときの主な確認項目を整理します。


① 必要な公称周波数は?

使用するICやシステムで必要な周波数を確認します。


② 発振回路に適した負荷容量(CL)は?

外付けコンデンサだけでなく、ICの内部容量や浮遊容量なども考慮します。


③ 必要な周波数精度は?

システム側の要求から、周波数許容偏差を確認します。


④ 使用する温度環境は?

動作温度範囲と、その範囲における周波数温度特性を確認します。


⑤ 安定して発振できる条件を満たしているか?

ESRなどの製品仕様を確認します。


⑥ サイズ・実装条件は適切か?

基板スペースだけでなく、電気的特性や実装条件も含めて確認します。


そして、水晶振動子の候補を選定した後は、 発振回路を検討し、実際の回路とのマッチングを確認することが重要です。


まとめ

水晶振動子を選ぶ際は、公称周波数やサイズだけでなく、 負荷容量、周波数許容偏差、周波数温度特性、動作温度範囲、 等価直列抵抗など、さまざまな仕様を確認する必要があります。

選定する際は、次の流れで検討することが重要です。

「必要な周波数・精度・使用環境を整理する」

↓

「条件に合った水晶振動子を選ぶ」

↓

「発振回路を検討する」

↓

「実際の発振回路とのマッチングを確認する」

用途や回路条件に適した水晶振動子を選定し、 実際の発振回路との組み合わせを確認することで、 電子機器の安定した動作につながります。

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