当社は、大規模データセンター向けの大容量3.5型ニアラインハードディスクドライブ (以下, HDD) として、 SMR (瓦記録) 方式を採用し、30~34 TB[1]の大容量化を実現した[2]M12シリーズを開発しました。本製品は、3月末よりサンプル出荷を開始[3]しました。また、 M12シリーズではCMR (従来型磁気記録) 方式の製品もラインアップを予定しており、最大28 TBのHDDのサンプル出荷を2026年7~9月期より、順次開始する予定です。
近年、クラウドサービスの普及、動画コンテンツの配信拡大、膨大なデータを活用するAIやデータサイエンスの導入などにより、世界で生成・蓄積されるデータ量が加速度的に増加しています。それに伴い、データの保管先となるデータセンターでは、より効率的なシステム構築のために、従来よりも大容量なHDDが求められています。こうした中、個人や企業においても、データの適切な保存やバックアップの重要性に対する認識が高まっています。本日3月31日は、国際的な記念日である"世界バックアップデー"であり、デジタル資産を保護するための取り組みを改めて見直す日とされています。
M12シリーズは、当社がこれまで小型・薄型製品の開発で培ってきた設計技術や解析技術を駆使し、磁気ディスクを前世代品 (CMR: MG11シリーズ、SMR: MA11シリーズ) から1枚追加し、計11枚を実装しています。また、従来のアルミ基板メディアから、より耐久性が高く薄型化が可能なガラス基板メディアへ変更しました。さらに、従来からのヘリウム充填HDDで、東芝独自のFC-MAMR™ (Flux Control-Microwave Assisted Magnetic Recording: 磁束制御型マイクロ波アシスト磁気記録方式) 技術を採用し、SMR方式による30~34 TBの大容量化を実現しました。
SMR方式とは、屋根瓦のようにデータトラックの一部を重ね書きすることで、記録密度を高める技術です。データトラックが重なっているため、ランダムアクセスでのデータ書き換え時には、転送速度が低下する場合があります。新製品のM12シリーズは、サーバーやストレージシステムなどのホスト側がドライブ管理を行うホストマネージドSMR方式を採用しており、ホストがHDD内のデータの書き換えを効率的に制御することで、システム全体として書き込み速度の低下を抑制することができます。
SMR方式におけるデータ転送速度は、前世代比で約8 %向上し、282 MiB/s[4]を実現しています。また、容量あたりの消費電力 (W/TB) [5] は約18 %低減しており、データセンター全体の電力効率向上と運用負荷の低減に貢献します。さらに、24時間365日連続稼働に対応し、ワークロード[6]は550 TB/年、MTTF/MTBF[7]は250万時間 (AFR 0.35 %) の信頼性を提供します。
当社は、すでに磁気ディスク12枚実装技術の検証に成功しており[8]、また次世代大容量記録技術である「熱アシスト磁気記録 (HAMR: Heat Assisted Magnetic Recording) 」を適用したHDDの将来的な製品化に向けた開発を進め、今後もHDDのさらなる大容量化に取り組んでいきます。HDDの提供や開発を通じて、データセンターなどにおいて今後も拡大が続くストレージ需要への対応に貢献していきます。