東芝デバイス&ストレージ株式会社
<新製品ニュース>

電子機器内の温度上昇をシンプルな回路構成で検知するThermoflagger™のラインアップ拡充について

東芝デバイス&ストレージ株式会社

2023年9月14日

東芝デバイス&ストレージ株式会社

これは、電子機器内の温度上昇をシンプルな回路構成で検知するThermoflagger™のラインアップ拡充についての画像です。

当社は、PTC[注1]サーミスターと組み合わせるだけのシンプルな回路構成で、電子機器内の温度上昇を検出可能にしたThermoflagger™(過熱監視IC)「TCTH0xxxEシリーズ」に6品種を追加し、ラインアップを拡充しました。本日から出荷を開始します。

さまざまな電子機器が所定の性能を発揮するためには、内部で使用される半導体や電子部品を設計通りに動作させることが重要で、温度はそのための重要なファクターのひとつです。特に設計時に想定された温度よりも高温の環境となった場合には、信頼性や安全性の面で大きな課題となることもあり、温度上昇を検知する過熱監視ソリューションが必要とされています。

過熱監視IC Thermoflagger™は、温度によって抵抗値が変化するPTCサーミスターと組み合わせるだけのシンプルな構成で、温度上昇を検出することができます。Thermoflagger™は、発熱源付近に配置したPTCサーミスターの抵抗変化を検知し、過熱状態時はFLAG信号を出力します。これにより、電子機器の過熱状態を検出することができます。Thermoflagger™が異常発熱を検知してFLAG信号をMCUに出力すると、たとえばMCUは電子機器のシステムを停止あるいは発熱している電子部品や半導体の動作を変更します。PTCサーミスターを直列に接続することで、複数箇所の過熱監視が可能です。

今回発売した新製品は、「TCTH011AE」、「TCTH012AE」、「TCTH021AE」、「TCTH022AE」、「TCTH011BE」、「TCTH012BE」の6品種です。TCTH0xxxEシリーズは、新製品と先行リリースの「TCTH021BE」、「TCTH022BE」をあわせて、計8品種のラインアップとなります。2種類のPTCO出力電流[注2]の選択によりPTCサーミスター選定範囲が拡大でき、プッシュプルとオープンドレインのFLAG信号出力タイプ[注3]の選択、FLAG信号保持機能[注4]の有無が選択できます。製品選択の幅を広げることで、低消費電流で柔軟な回路設計が可能となります。

パッケージは小型で業界標準のSOT-553(当社パッケージ名称:ESV)を採用しました。これによりTCTH0xxxEシリーズは、電子機器全体の過熱監視を容易に構成することができ、かつ小型化と低消費電力化にも貢献します。

リファレンスデザインとして、先日公開した「過熱監視IC Thermoflagger™応用回路 (TCTH021BE / オープンドレイン版) 」に加えて、今回新たに「過熱監視IC Thermoflagger™応用回路 (TCTH021AE / プッシュプル版) 」のリファレンスデザインを開発し、本日当社ウェブサイトに公開しました。

なお、Thermoflagger™と組み合わせるPTCサーミスターについて、株式会社村田製作所の技術情報を活用しています。また、PTCサーミスターの使用にあたり、株式会社村田製作所の下記サイトにて、当社のThermoflagger™が推奨されています。
株式会社村田製作所のIC Recommend list
株式会社村田製作所のPTCサーミスター

当社は、今後もパッケージ展開製品や特性を向上した製品ラインアップを拡充し、ユーザーの設計自由度と省エネルギーによるカーボンニュートラルに貢献していきます。

[注1] Positive Temperature Coefficient(正の温度係数)の略。
[注2] PTCO出力電流は過熱監視ICからPTCサーミスターに供給する定電流です。
[注3] 過熱監視ICが異常を検知した際にFLAG信号を出力します。プッシュプルタイプは縦積みにしたMOSFET2個で構成され、出力電流の流れ込み、流れ出しどちら向きでも流せます。オープンドレインタイプはMOSFET1個で構成され、出力電流の流れ込み一方向のみとなります。
[注4] FLAG信号保持機能は、過熱監視ICが一度でも異常を検知してFLAG信号を出力した後に保持する機能です。過熱監視IC単体では復帰しないため、MCU等からRESET端子へ信号を入力することで復帰します。

これは、FLAG信号出力タイプがオープンドレインで、PTCO出力電流が1.00μAの場合の動作例の画像です。
FLAG信号出力タイプがオープンドレインで、PTCO出力電流が1.00μAの場合の動作例
これは、過熱監視IC Thermoflagger™応用回路(TCTH021AE版)リファレンスデザインの画像です。
これは、リファレンスデザインのブロック図です。
リファレンスデザインのブロック図
これは、PTCサーミスターの特性例の画像です。

応用機器

  • モバイル機器(ノートPCなど)
  • 家庭用電気製品
  • 産業用機器など

新製品の主な特長

  • PTCサーミスターと組み合わせるだけのシンプルな構成
  • PTCサーミスターを直列に接続することにより複数箇所の過熱監視が可能
  • 低消費電流: 
    IDD=1.8μA (typ.) (TCTH011AE、TCTH012AE、TCTH011BE、TCTH012BE)
    IDD=11.3μA (typ.) (TCTH021AE、TCTH022AE)
  • 小型の標準パッケージ: SOT-553 (ESV)
  • 2種類のPTCO出力電流によるPTCサーミスター選定範囲拡大: 
    IPTCO=1.00μA (typ.) (TCTH011AE、TCTH012AE、TCTH011BE、TCTH012BE)
    IPTCO=10.0μA (typ.) (TCTH021AE、TCTH022AE)
  • 高PTCO出力電流精度: ±8% 
  • プッシュプルとオープンドレインのFLAG信号出力 (PTCGOOD) の選択が可能
  • FLAG信号保持機能の有無の選択が可能

新製品の主な仕様

(特に指定のない限り、Tj=25°C)

品番 パッケージ 動作範囲 電気的特性 FLAG信号
出力
(PTCGOOD)
異常
検出時の
FLAG
信号
保持
機能
名称 サイズ
(mm)
電源
電圧
VDD (V)
動作
温度
Topr (°C)
PTCO
出力
電流
IPTCO (μA)
検知
電圧
VDET (V)
消費
電流
IDD (μA)
UVLO
電圧
VUVLO (V)
Typ. Typ. Typ. Typ. Typ.
TCTH011AE SOT-553
(ESV)
1.6×1.6、t=0.55 1.7~5.5 -40~125 1.00 0.50 1.8 1.5 プッシュ
プル
なし
TCTH012AE あり
TCTH021AE 10.0 11.3 なし
TCTH022AE あり
TCTH011BE 1.00 1.8 オープン
ドレイン
なし
TCTH012BE あり
TCTH021BE[注5] 10.0 11.3 なし
TCTH022BE[注5] あり

[注5] 先行リリース製品。

新製品の詳細については下記ページをご覧ください。

TCTH011AE
TCTH012AE
TCTH021AE
TCTH022AE
TCTH011BE
TCTH012BE

Thermoflagger™(過熱監視IC)の詳細については下記ページをご覧ください。

Thermoflagger™

各種アプリケーションへの応用例は下記ページをご覧ください。

ソリッドステートドライブ
サーバー
タブレットデバイス

お客様からの製品に関するお問い合わせ先:

  小信号デバイス営業推進部

  Tel: 044-548-2215

* Thermoflagger™は、東芝デバイス&ストレージ株式会社の商標です。
* その他の社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。
* 本資料に掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

この情報は、東芝デバイス&ストレージ株式会社のホームページに基づいて掲載しており、最新の情報は下記URLからご確認ください。
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/company/news/news-topics/2023/09/linear-20230914-1.html